なくそうよ、虐待。やめようよ、いじめ。

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――いじめと虐待についてにお伺いしたいと思います。
最近では北海道の小学生がしつけとして車から降ろされ、山林で行方不明になるという事件もありました。今回の事件についてどう思いますか?

中村:難しい話ですよね。今回の事件は1回怒って言うことを聞かないから車から降ろしたんですよ。そこまでは理解できるし、よくあることだと思います。自分もそういう時がありますし。1回怒っても本人がぜんぜん反省していない時は、2回目はもっと怒ります。ただ本人の目の前から消えてはいけないなと思いました。どこの家庭にもある話ですが、あそこまで大事になるなんて思ってもいなかったですよね。

自分も小さい頃親に怒られた時はベランダに出されたこともあるので、よくある話なのかなと思っていましたが、ここまで騒ぎになるとは予想もしていませんでした。最近自分の子どもに雷を落とした時に子どもが出ていくと言って出て行ったことがあったんですよ。それはさすがに追いかけました(笑)。それが大自然の中でとなると怖いですね。

――近年は子どもへの虐待が増えていますが、それについてはどう思いますか?

渡辺:虐待に関してはニュースや今回の活動で耳にしますが、僕の周りにあまり虐待という現場がないのが正直なところです。身近にないということはそういう子がいても他人が気づいてあげることは難しいのかなと思ってしまいます。あまり注視する機会がないですよね。

中村:なるほど、確かにそうかもしれない。

――では、そういう子の存在に気づくにはどうしたらよいと思いますか?

渡辺:でも、実際にいじめや虐待にあっている人がいるのは現実なんですよね。だから憲剛選手がこういった活動をされるというのは、とても大きいことだと思います。

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中村:目を背けたい話ですし、嫌な話ですよね。でも、そういうニュースはよくありますよね。自分ができることは少ないかもしれませんが、ここまで7回にわたって多くの方と話をさせていただきました。みんなでどんどん発信していければ少しはいじめや虐待は減るのではないかと思っています。

渡辺:被害を受けるのは、幼稚園や保育園の子たちが多いので、周りの生徒や先生が気づかないといけない。さすがに子どもたちにその役割を期待するのは難しいので、そうなると先生か親御さんしかいない。自分が実際に幼稚園に送り迎えに行っても、そういう目で見ることはほとんどないですからね。だからこの活動は本当に大きいと思います。
僕は小学校3、4年生の時にいじめる側だったことがありました。いじめている側は分からないんですよ。その年代だと、いじめられて自殺するとかも想像しない。当時は相手の親御さんから電話をもらうまでそういう自覚がなく、みんなでちょっとからかっているくらいの認識しか持てませんでした。少ししてから、酷いことをしてしまったなと思って。自分の身近にあった分、そういう子がいたら真っ先に声をかけてあげたいですね。

中村:なるほど。

渡辺:例えば子どもが家に友達を連れてきて、ゲームをやってもやれる人数が限られていて、できない子とかいるじゃないですか。

中村:そういうの分かります。集団で何かがあると、言っていることとか、言われていることが空気で分かりますよね。もしやっている子がいたら言うし、やられていても言うし。自分の家に遊びに来ている子は自分の子どもでなくても言います。それはその子のためになるので。大人は言えることと、言えないことがあるけど、それは遠慮なく言っていいと思います。

渡辺:いじめは虐待に比べて身近にあるので、注意しやすいですよね。

――言い方もそれぞれあると思いますが、どのようにされていますか?

渡辺:僕は強く言わないです。「それはちょっとダメなんじゃないの?」みたいな感じですね。他の子にはあまり言えないですから。

中村:確かにそうですね。集団の中で言うか、それともみんなが帰ってから言うか。それだけでも子どもの捉え方はぜんぜん違いますよ。みんなの前で言われたら受け取り方も違うし、みんなの前で言わないといけない時もある。自分の中でこれはダメだっていうのがあれば自分は言いますね。

――そうすることで信頼関係って生まれてきますよね。 watanabe03_02

中村:そうですね。自分と息子の信頼関係があります。

渡辺:でも難しいですよね。自分の息子は来年中学生ですが、LINEいじめとかもありそうですし。

中村:いじめを減らすのは難しいかなって思うのが正直なところです。どこに基準があるのか分からないので。

渡辺:自分の子どもを注意することくらいしかできないですよね。

中村:いじめを無くすにもまずは自分の息子には芯を持たせないといけないと僕は思います。そのしっかりした芯の判断基準は親がやるべき。そのためには小さい時から自分のものさしで話をして向き合わないといけない。しっかり妻と話し合っていかないと。

渡辺:親と子どもは似るから言うこと聞かない子どもだと、そういう親は注意しない。だから自分たちが注意しないといけないですよね。

中村:地域で見られたらいいですよね。自分の親もそうだし、隣近所の人たちも。お互い言い合えるような環境があればいいなと思います。

――最後に、今日の対談の感想をお聞かせください。

渡辺:僕は20歳の時から子育てをしていますが、子どもと共に多くのことを学んできた12年間を振り返ることができました。今は子どもと楽しくやれていますし、年もそんなに離れていないので、子育ては大変ではありますが、頑張っていこうと改めて思いました!

中村:まさか竜王がそんなパパだったとは思ってもいませんでした(笑)。目を背けたい話ですが、色々なことを知れるこの対談は得られることも多くて、やっぱりいいなと思います。普段の生活でこんな話はしないので、とても勉強になりました!

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■渡辺明 Akira Watanabe
棋士。1984年、東京都生まれ。2000年4月にプロ入りを果たすと、2004年の第17期竜王戦で初タイトル獲得。翌年には史上最年少で九段に昇段 し、2008年に永世竜王資格者となる。2013年には第62期王将、第38期棋王を獲得し、史上8人目の三冠王となった。現在(2016年8月時点)は竜王、棋王の二冠。踏み込みの良い棋風とともに、明確な解析能力に定評がある。

また、自ら立ち上げた将棋連盟フットサル部の部長もつとめており、月に一度のペースで関東の棋士や関係者でボールを蹴っている。

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